キャラメルボイスのタイムトラベラー

僕は貴方の事解らないし、知らないけど

もうそう

八月を全てくれないか

高校3年生のこの時期。 じとっとした肌にまとわりつく湿気と、窓の外にはどんよりとした曇り空。無理やりまとめて袖を捲っていた黒のいかにも熱を吸収しそうな学ランからやっとおさらばし、見た目にも涼しげな白のYシャツ一枚で、ぱたぱたと控えめに下敷きか…

あきと×大阪LOVER

華金のご多分に漏れず掛けられた、先輩からの飲みの誘いも振り切って、帰るのを遮るように終業ギリギリに入ってきた新しい資料も一心不乱に纏めて、ネオンと喧騒の中に向かう人たちとすれ違うように「東京駅で。」タクシーを走らせる。 急いだおかげで少し時…

じゅんたくん×飲みに来ないか

「飲みに来ぇへん?」 久々に、君を家に呼んで、2人で、酌を交わして、話でもしようかと、思っていた、はず、だった。のに。 なんで俺は、1人で、2つの、汗をかいたグラスを目の前に座ってるんやろ。 なんやねん、あいつ。 君とのメールのやりとりの最後…

しげおかくん×アイスクリームシンドローム

「あっつ…。」 当たり前や、8月頭の真っ昼間、まぶしいほどの青がどこまでも広がる空の下に出たら、刺すように照る直射日光に焼かれるに決まってる。 歩いても歩いても隠れられる日陰もない。 Tシャツが汗でくっつく。首元を摘まんでぱたぱたと扇いでも、ジ…

体育祭のおはなし

10月初旬。暦の上では秋といわれても、遮るもののない高く青い空の下、太陽の光を燦々と浴びたグラウンドは、高まる声援と共に熱気を帯びてい暑い。高校生になって2度目の体育祭の真っ最中。視線の先にはそれぞれ違う色のハチマキをした3人の姿。重岡くんの…